ベーチェット病は、難病(特定疾患)に指定されている、全身の病気です。、
特に失明リスクが高いので、目の症状には、特に注意が必要です。

ここでは、ベーチェット病の、治療について、詳しく見てみたいと思います。

 
★◇★ ベーチェット病の治療法についての概要

ベーチェット病は、原因が解明されておらず、根本的な治療法は確立されていず、
対処療法が、治療の中心となります。

部位毎の、具体的な方法は、

眼の症状に対しては、先にステロイド点眼薬で炎症を抑え、炎症が治まってから、
再発予防のために、コルヒチンという薬を使います。

口内炎や潰瘍には、外用薬を使用します。、
関節炎には、コルヒチンと鎮痛剤を使用します。

血管型ベーチェットには、ステロイド内服薬と、免疫抑制薬を併用します。
腸管型ベーチェットには、ステロイド内服薬と、抗炎症薬を使用します。
神経ベーチェットには、ステロイド内服薬の大量療法を行います。

ベーチェット病は、特定疾患にも指定されている、難病なのですが、
眼の症状と、血管型ベーチェット・腸管型ベーチェット・神経ベーチェット症状

が見られない場合は、慢性的に繰り返し症状が、出現はするものの、
生活的には、大きな支障が無い、のがほとんどであります。

眼の症状がある場合は、「シクロスポリン」と言う薬で、再発を抑える様になり、
視力が、0.1以下になる悪化率が、20%程度まで、改善され様になりました。

但し、血管型ベーチェット、腸管型ベーチェット、神経ベーチェットの場合は、
治療の経過が長くなり、後遺症を残してしまうこともあります。

 
★◇★ 厚生労働省の研究班で推奨する、ベーチェット病の治療(HPより引用)

厚生労働省HPは、こちらをご覧ください。

http://www-user.yokohama-cu.ac.jp/~behcet/patient/behcet/standerd.html

治療に当たっては、疾患活動性、重症度を考慮しながら、治療の優先順位を決め、
治療法を選択していきます。

1.眼症状

虹彩毛様体などの、前眼部に病変がとどまる症状の場合は、
発作時に、副腎皮質ステロイド点眼薬と、虹彩癒着防止の散瞳薬を用います。

網膜脈絡膜炎では、急性眼底発作時に、ステロイドを、テノン嚢下注射か、
全身投与で対処し、発作の消退に効果を期待します。

発作の反復は、視力の低下につながりますので、積極的な発作予防が必要です。
コルヒチンが、第一選択薬として使用することが多いのですが、
不十分な場合には、シクロスポリンを使用します。

シクロスポリンは、5mg/kg程度から治療を開始し、
腎機能障害や中枢神経症状などの、副作用の発症に注意しながら、
トラフ値は、150ng/mlを目安に調整していきます。

シクロスポリンにも、抵抗性を示す様な、難治例では、インフリキシマブの、
投与を検討。することとなり、

投与スケジュールは、関節リウマチに準じ、0週、2週、6週に、5mg/kg投与し、
以後は、8週間隔とするのが一般的な治療法です。
2.皮膚粘膜症状

口腔内アフタ性潰瘍・陰部潰瘍には、副腎ステロイド軟膏の局所塗布が有効です。
内服薬としてはコルヒチン・セファランチン・エイコサペンタエン酸などが、
効果を示すことがある様です。

結節性紅斑については、コルヒチンが有効であり、
痤瘡様皮疹は、一般的な痤瘡に準じて、局所治療を行います。

薬物療法の他。口腔内、病変局所を清潔にたもつこと、齲歯の治療も重要です。
齲歯治療時には、一過性ではありますが、口腔内アフタ性潰瘍などの、
症状が出現することがあるので注意が必要です。

3.関節炎

内服薬の、コルヒチン投与が有効ですが、対症的には消炎鎮痛薬も使用します。
効果がない場合には、副腎皮質ステロイド薬を用いることもありますが、
使用については、副作用もあるので、短期にとどめて置くです。

4.血管病変

特に炎症を伴う動脈病変では副腎皮質ステロイド薬に、アザチオプリン・
シクロフォスファミド・シクロスポリンAなどの、免疫抑制薬を併用します。

我国での、血管病変に対しての治療は、深部静脈血栓症をはじめとして、
抗凝固療法を選択されることが多いのですが、

諸外国では、肺出血のリスクを上げるとして、使用を控える傾向にあります。
実際に、日本での抗凝固剤の使用による、致命的な肺出血の症例は、ほとんど

経験が無いことから、あえて抗凝固療法の回避は必要はなく、むしろ肺塞栓症の、
のリスクを考慮すると、必須な治療ではないかと考える専門医が多いようです。

動脈瘤破裂による出血は、救命のために、緊急手術の適応になります。
しかし、動脈瘤の待機的手術に、異論が唱えている医師も居ります。

これは、ベーチェット病は、血管手術後に縫合部の、仮性動脈瘤の形成などの、
病変再発率が高くて危険であり、可能な限り保存的に対処すべきとの考えです。

手術の場合でも、術後再発防止のため、免疫抑制療法を十分行う必要があります。

5.腸管病変

クローン病などの、炎症性腸疾患に準じた治療で、副腎皮質ステロイド薬・
スルファサラジン・メサラジン・アザチオプリンなどを使用します。

副腎皮質ステロイド薬については、状態をみながら漸減、できれば中止として、
長期投与は避けるのが原則です。

実際、難治性で、ステロイドの離脱に苦慮することも、決して少なく無く、
そのために、ステロイドの副作用対策も、予後の上では重要な治療です。

最近では、TNF阻害薬の有効性が報告され、その効果に期待されていますが、
現時点では、腸管病変それ自体には保険適応はありません。

消化管出血・穿孔の場合は、手術を要す治療となりますが、
再発率が高いので、術後の免疫抑制療法は、重要な治療となります。

6.中枢神経病変

急性型の、脳幹脳炎・髄膜炎にたいしては、ステロイドパルス療法を含む、
大量の副腎皮質ステロイド薬が使用され、アザチオプリン・メソトレキサート・
シクロホスファミド点滴静脈注療法 等を、併用することもあります。

急性型は、これらの治療に比較的よく反応し、殆ど改善しますが、
一部は、急性発作を繰り返しながら、慢性進行型に、移行していきます。

精神症状・人格変化 等を主体とした、慢性進行型に有効な治療方法は、
まだ、確立したものがあるとは言えません。

メソトレキサートの、週一回投与の有効性が報告されておりますが、
実際面では、若くして、認知症の症状が進行しており、医学的な治療よりは、
更生施設の入所の斡旋など、社会的対応が重要になる場合も多いようです。

眼病変に対するシクロスポリン服用患者は、その20~25%に神経症状が、
出現するとされています。

ベーチェット病全体の、神経症状頻度は10~15%程度でありますので、
シクロスポリン服用が、神経症状発現の一つの危険因子であることが、明白です。

このような中枢神経の副作用は、不思議なことに、他の自己免疫疾患や、
移植患者にはほとんど見られないと言う、ベーチェット病に特徴的なものです。

しかし、その発症理由は分かっていないのが現状で、
神経症状に対しての、シクロスポリンは禁忌で、神経症状の出現があれば中止し、
他の治療薬に変更すべきです。

殆どが、急性型ですので、シクロスポリンの中止と副腎ステロイド薬投与で、
症状は改善していきます。